sonozy

インフル病みのペトロフ家のsonozyのレビュー・感想・評価

インフル病みのペトロフ家(2021年製作の映画)
3.5
ロシア映画、積極的に観たいとは思えない心境ですが…『LETO-レト-』のキリル・セレブレンニコフ監督作、愛しのチュルパン・ハマートヴァ!(大好きな『ルナ・パパ』『ツバル』)が出ているということで観てみました。
カンヌでフランス映画高等技術委員会賞なるものを受賞。

これ、原作のベストセラー小説がぶっ飛んでるんだと思いますが、かなりぶっ飛んでます。

主人公の男ペトロフは、パンクな女性車掌が仕切る満員のバス内で激しく咳き込み、インフルエンザだと語る。
すると、レスラー風の覆面男がバスを止め、ペトロフを降ろすと銃が渡され、そこに到着した人質らしき人達を並ばせると、ペトロフを含む銃を持った男たちが銃殺。バスの乗客はそれを見ている。
ん?これはペトロフの幻覚なのか?再びバスに乗っているペトロフ。
老人が乗ってきて、9歳の少女が席を譲ると、老人は感謝しながら、インドとアフガニスタンでは7歳で結婚出来るんだ..などと話し出す。すると前の席に座っていた男が突然その老人を殴り、バスから降ろす。
ペトロフは老人が落とした入れ歯を拾いポケットに。(これが後々効いてきます。笑)
・・
こんな具合で、インフル症状の幻覚か、現実か、ロシアの病に対するブラックな寓話か…時空も超える展開に引きずり回されます。

ちなみに、チュルパン・ハマートヴァはペトロフと離婚した元妻ペトロワ役で、ペトロフとの間の息子セリョージャを育てていて、眼鏡をかけた図書館司書ながら危険なパワーを秘めてます。

2004年(現在。イーゴリという男とつるみ色々巻き込まれる)、1990年代(ペトロフは自動車工をしている。自殺願望の作家セリョージャが登場)、1976年(旧ソ連。ペトロフの子供時代。両親や、マリーナという女性が登場)と、3つの時代の複数の物語が混じり合います。

ペトロフは漫画も描いていて、その内容は彼の日々の体験?幻想?を反映しているようです。
あの漫画は完成したのかな?
sonozy

sonozy