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パリ13区のYKのネタバレレビュー・内容・結末

パリ13区(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

移民が多く再開発が著しいパリ13区を舞台に、3人(4人)の男女が織りなす「新しいパリ」の物語。脚本には『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマを迎え、御年70の監督が作ったとは思えない瑞々しい作品になっていた。日本人が思い浮かべるパリの風景、たとえばエッフェル塔や凱旋門といった歴史的観光地はまったく映されず、あるのは高層マンションや中華街。冒頭から流れるのは、フランス語ではなく中国語だ。主演の1人であるエミリーは、コールセンターで働く台湾系フランス人で、ルームメイトのアフリカ系フランス人カミーユと共に夜を過ごしている。彼女らが暮らすマンションをなぞるようにしてはじまるオープニングは、パリ特有の高さ規制をもろともしないような13区の街並み、そしてその土地性をありありと感じさせる。

主演3人はいずれもパリ出身の俳優が演じている。とりわけ、ノエミ・メルラン演じるノラのエピソードがおもしろい。32歳で大学に復学したものの、人気ポルノスターに似ていたことから冷やかしを受け、再度大学から離れてしまう。その後ノラは、そのポルノスターを知るためアダルト配信に課金しチャットを試みるが・・・という、この何とも言えない関係性が自分好みだった。というより、アダルト配信を使った話は個人的にやりたいと思っていたので、「やられた!」とも思った。

大島依提亜デザインの宣材が、本国のものよりかっこよくて最高。
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