【史上最悪のヒロイン】
トリアー監督の『テルマ』は一回観ただけで完全な虜になってしまった大好きな作品なので、世界で話題沸騰だった今作もめっちゃ楽しみにしてました。
シンプルなのに複雑、まさにアンビバレントな作品で、胸張って傑作だったと言えるほど正直理解できてないです。
まず、主人公のユリアがlikableとは程遠い人物で、たま〜に思考的に共感できる部分はあったけれど、基本的に行動的な面についてはどれもドン引きものでした。
ちゃっかり強めのエゴイストで、簡単に人を傷つけちゃうし、一番人を振り回すタイプの人間やわ。
最悪な人間だとは思わないけれど、個人的にはめっちゃ苦手でした…笑
心(魂)のままに、すべてを感じ取りたい。
分かるよ。
でも、ユリアの心は、決まった帰る場所も行き場もなくて、終始フラフラ彷徨っているんだよね。
だからこそ、不安定な心は他人の身体をつねに求めてしまうし、やっと安定したと思っても、結局それは他人の身体だから、自分が所有したい人生とはかけ離れてしまう。
心のままに行動してるようで、身体は宙に浮かんだままなんだよね。
やがて、自分の心は自分の身体に戻り、はじめて地に足をつけ、自分自身の人生へと踏み出す。
やっとユリアは主人公になれたのかな。
最高と最悪の狭間で、生きていこう。