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わたしは最悪。のmocoのレビュー・感想・評価

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
4.6
恋人がいても、愛する人と出会ったり(或いは再会したり)してしまうものだ人生は。
誰かと恋人になる時、漠然と自分が主役になれない関係に思えて憤りを感じる女性目線の気持ちが痛いほどわかった。
そして、自身を主役と感じられる関係性の時ほど、動物的で中身がないことも。それに気づくのは後悔してからなので、きついものだと思うけど、本当の関係は、会話があって、その一方で会話無くしても成立するものだし、そうなるには、すれ違いやぶつかり合いや長い時間を経ないと到達できない。

家族を見た後、子どもの話になるところが不快だった。子どもを持つことに対して抱く気持ちとか、そういった内容の話合いでの会話にならなさとか。

最近、トリュフォーの『恋のエチュード』を観たばかりだったので、文学的に説明するナレーションの声が入るところとかとてもトリュフォー味を感じた。
他の章でも、いろいろな手法をされたい監督なんだ!と思って、わくわくしたし、愛嬌があって愛おしいなと思った。主人公にも。

こういう映画、ラストは、誰ともくっつかずに1人で子どもを産んで育てるっていう流れになりそうだけど、おろすという選択をしたことは、悪ではないし、そういう選択もあるんだよと肯定されている様ですごく良かったと思う。時世的にも。それが悪じゃないって女性に思わせてあげられる世界であってほしいと思った。心意的・身体的負担を背負うのは、いつでも女性側だから。

自分にとって最悪でも、相手にとって総じて見た時最高だったら、それでいいんだろうな。
映画を観ながら、ユリアあなたは全然最悪じゃないよ。と思った。
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