つるみん

コンパートメントNo.6のつるみんのレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
3.7
【ハイスタ・ヴィットゥ】

恋人のドタキャンにより1人でモスクワから世界最北端の駅ムルマンスクまで向かう事に。その道中の列車で出会った男女2人を描くロードムービー。

第74回カンヌでグランプリに輝いた一作。

〝ひとり旅〟というものをこの映画で体現してくれたような気がする。目的地に着くまでの道のりは長く、ハプニング続きであるが、それもまた良い思い出へと昇華される。本作で好きなところは欧州のお洒落な雰囲気を捨て、外の景色は極寒で薄暗い灰色が終始続き、車内だけ暖色が仄かに照らされる。これぞ〝ひとり旅〟を感じさせるポイントであり、よりリアリティが増す。

そして欧州の映画なのに、作風はアジアンスタイルに感じたのは自分だけだろうか。あそこまでカメラを切り替えはしないが、濱口竜介や王家衛が撮りそうな題材とスローペースで詩的な展開にどこかノスタルジーを感じる。

本作、色んな国でリメイクされてもおかしくないなと思った。
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