ここfilmarksでも邦題が載っていないほど知名度は低いのだが、練られた脚本と素晴らしい俳優陣でレベルの高いクライム物として楽しめる作品。
後半でオチは読めてしまうのだが、それにしてもセンスの良い原題のつけ方で、またそのケーキに込められた母親の恐ろしいほどの復讐心が見事に描かれていて、これもプラスに働いている。
もちろん、「途中で誰かがペロッと舐めたら」とか「全員同時に食べかなったら」などツッコミどころはあるのだが、それを跳ね返すぐらいの演出と脚本で、ツッコむのは野暮ってものだろう。
主役のシャイローも良かったのだが、わき役の充実の仕方は特筆もの。
ユアンはもちろん、ウィリアム・フィクトナーやポール・ソルヴィノなど見事。
カメオ的な出演だが、タクシー運転手のルイス・ガスマンは印象に残る。
そして、ヴァル・キルマーの貫禄は最高。多分咽頭癌であった彼を使いたいがために「銃で喉をうたれた」と言う設定を咥えたのではないだろうか。
今作以降はAI技術により自分の声で出演をしている。
あまり有名ではないために、良い「拾い物」をした感が大きく満足度が高い作品。
余談。
音楽の使い方もセンスが良い。
ノリの良い楽曲もカッコよく入っているのだが、それとは対照的に、クリスマスソングをマイナー系にアレンジした不安感を盛り上げる楽曲が効果的。
それにしても邦題「バースデーケーキ:血の粛清」はセンスゼロ。
なんですかぁ「血の粛清」って・・・・
せっかく落ちにつながる原題をぶち壊している。