ゆずきよ

その日、カレーライスができるまでのゆずきよのレビュー・感想・評価

3.8
リリー・フランキー主演。
おじさんがカレーを作るというだけの話。
ただカレーを作るだけではあるが、そこには様々な想いや記憶が煮込まれていて、煮れば煮るほど味は出るけれど、煮詰めてしまうとダメになってしまう。
あとで知ったけど斎藤工プロデュースだったんだね。

物語はワンルームで展開し、基本的にリリー・フランキーの独白。
時折差し込まれるビデオカメラの映像と、雨が道路を叩く風景。
これカレーライスってのがポイントで、カレーって家庭の象徴だと思っているんです。
味噌汁もそうかも知れないし、カレーが嫌いな人だっているとは思うけど、味噌汁はやっぱり脇役だし、カレーは同じルーを使用していてもその家庭の味が出るんだよ。
肉じゃがとか煮物とかもそうだけれど、やっぱり一番家庭の色が出るのはカレーライスだと思う。
見た目はそれほどの違いが無いというのも大きいかな。
この映画もそのカレーライスが主軸にいて、画面の中から香りが漂ってきそう。
多くを語らないからこそ余白や行間が出来て物語に深みが出るので、その点で言うと少し語り過ぎかな。
隠し味だからって色々と入れ過ぎちゃダメなんだよ。
でもやはり邦画らしさというか、静かな余韻の残る演出は良かった。

こういうワンシチュエーション系の映画が、カレーライスと同じくらい大好物なので、凄く好きでした。
これはリリー・フランキーでしか出せない魅力の映画だと思う。
エンディングの曲も素敵でした。
ゆずきよ

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