ティンク

ブルース・リー/死亡遊戯のティンクのレビュー・感想・評価

ブルース・リー/死亡遊戯(1978年製作の映画)
3.5
★World Bruce Lee Classic開幕記念★
【過去作レビュー】
「これが俺たちの『ブルース・リー 死亡遊戯』だ!」

その昔「怒りの日」という英国映画がありました。ロッド・スタイガー扮する元IRA工作員が、女王もろとも爆死するべく議事堂に乗り込みます。
演説のシーンで本物のエリザベス女王が映し出されます。ま、ニュース映像を差し込んでいるだけなのですが。いよいよ爆破寸前になって犯人取り押さえのドタバタが起こったときに、なんと、エリザベス女王が、何が起きているのと言わんばかりに原稿から顔をあげ、騒がしい方向に目をやるのです。女王に演技をさせた映画、なんてことが言われてました。

さて本作、復讐に燃える主人公が敵の一人をロッカールームで追い詰めるシーン。もちろんそんなシーンは元々撮影されておらず、「ドラゴンヘの道」のフィルムが差し込まれているんですが、必殺技が決まり「お前の負けだ。カール・ミラー!」と決め台詞を言ったあと、ロッカールームのドアの外から人が入ってきそうになった瞬間、はっとブルース・リーがドアのほうに目をやるのです。これを見た瞬間思いました。あーっ、怒りの日だ!

本作の前半、というか大半は今書いたような過去作品からのフィルムの差し込み(一番うまくいっているのが上記ロッカールームシーンかな)と、そっくりさん、いやそっくりじゃないさんを使ったオリジナルストーリーが展開します。
満を持して映し出される本人が撮影していたクライマックスシーンも、(ファンなら敵に乗り込むはの3人と知っていたが)ブルース・リー1人が乗り込むように編集し直されています。

(残存するフィルムから、本来意図していたクライマックスを再現したものは、「Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯」や「a warrior's journey」で観ることができます。そう、原題は「死亡的遊戯」)

そう、それでも、何度見ても、胸が高鳴ってしまうんです。
壮麗なジョン・バリーの音楽が鳴り響き、ブルース・リー本人の怪鳥音がさく裂する。
(米国版を仕入れた東宝東和が試写してみて、ブルース・リーの弟子のクリス・ケントがアフレコしたフワフワした怪鳥音を聞き「これはダメだ。これでは日本のファンは納得しない」と、過去作品から本人の怪鳥音を抜き出してきて、一からアテレコしたそうです。フワフワ怪鳥音はサントラ盤で聞けます)

映像もつぎはぎ、怪鳥音もつぎはぎ、本来とはかけ離れたストーリーから撮影済のクライマックスへつぎはぎ。
でも、いいんです! これが俺たちが観た「死亡遊戯」なんです。(テレビ特番を見て公開が待ち遠しかった熱い日々を含めて、映画体験ってそんなもの)
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