まったりのんびりとした生活の中で小さな幸せを探していく幸福な映画。サチエ、ミドリ、マサコ、訳ありなお客さん。普通なのにどこかおかしい人たちの可愛いやり取りとフィンランドの何ともいえない空気感が調和していたように思う。
原作を読んだ人ですら配役がピッタリだと思ってしまう。小林さん、片桐さん、もたいさん、それぞれクセのある役者さんなのにピッタリとハマるというのは原作からの面白さが所以だろうな…
「おにぎり」をメインメニューとして売り出すかもめ食堂。フィンランド人から子どもに見られる38歳のサチエが店主を務める。訳ありな日本人女性ミドリとマサコガそこへやってくるのだが、2人はすぐにかもめ食堂に溶け込んでいく。
個人的に、サチエがかもめ食堂をフィンランドで開くにあたった経緯が原作の中でも大切な部分かと思った。誰かが心を込めて握ったおにぎりは、自分で作るものよりも美味しいと教えてくれた武道の鬼の父。料理を学ぶ中で、華やかな盛り付けじゃなくても素朴でいいからちゃんとした食事を食べてもらえる食堂を開きたいと思ったこと。天才的な幸運の持ち主のサチエは、かもめ食堂を開いたりフィンランドに住む軍資金を宝くじで勝ち当てるたこと。
ここら辺を映画でも観たかったな〜と言う気持ちはある。ただ、サチエがプールで泳いでいるところや、サチエとミドリがガッチャマンの歌を一緒に歌う出会いのシーンや、マサコがフィンランドのポップな服を購入するところなど、映画ならではのシーンはとても可愛かった。そして、サチエさんの人として芯のある人物だという描写が、かもめ食堂の存在をグッと引き立てていたのを素敵だった。こんな食堂がフィンランドにあるのなら、それだけを目的にしてでも行ってみたい。