Dana

かもめ食堂のDanaのネタバレレビュー・内容・結末

かもめ食堂(2005年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

何回目かの鑑賞

とてもいい映画であることはわかっていてが、その理由が少しわかった気がする。

まずは人物描写。
・ミドリ(片桐はいり)
理屈で考える理系タイプ
店のことを思い、そのためには客を増やす事が一番と思い、そのためにはフィンランド人に食べてもらいやすいものの方が良いと思い、ザリガニおにぎりを作る。論理的であり普通の考え方だが、それが上手く行かない事が多い。
またミドリは人が少し苦手なところがあるのだろう。そう言った面でも自分によく似ていると思った。
・サチエ(小林聡美)
思いつきや自分の考えで動く直感タイプ
なによりも自分の直感や考えを信じて根拠こそないもののそれで上手くいくと信じている。そして実際に上手くいく。
唐突に思いついたシナモンロールを焼き、その結果客足が増える。
直感を信じるタイプなので、「なぜ?」と聞かれると答えられず即興で返す。
・マサコ(もたいまさこ)
流れるように生きる風タイプ
自分で考えてやりたいことをやると言うタイプではなく、周りで起きる事象に全てを委ねてそれに逆らわずにいきる。
服と言われれば服を買いに行き、森と言われれば森に行く。猫を渡されればそのまま預かる。自由という点ではサチエとも似ているが根底は全く違う。

自分が脚本を書いていたら絶対書くであろうことが無かった。それは、彼女らがなぜヘルシンキにいるのか?ということで、ミドリに関しては軽く触れていたがその理由までは察する程度でしかわからない。サチエとマサコに関しては全く触れられない。一番素性を語られたのは藁人形のおばさんだった。
つまり映画で絶対あるべき人物設定、なぜ誰が何処で何をしているのかのなぜがすっぽり抜けている。そこからのスタートで始まっているのでどこかふわふわしていながら、全てに理由を求めがちな世界の中で独特の心地よさがある。

エンディングの気持ちよさが素晴らしい

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2023/10/26
Dana

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