『犬鳴村』『樹海村』に続く恐怖の村シリーズの第3弾である本作は、北陸地方の著名な心霊スポット:坪野鉱泉を舞台とした作品である。
目も当てられない出来だった前二作と比較すると多少はマシな出来ではあるが、村シリーズ特有の時間軸の御都合ロジックの行使はもう食傷というか完成度の袋小路というか、前半部分の"悪くはない"という所感を後半のいつものノリで雲散霧消させているのは口惜しい。
今回 自分と同じ顔をした心霊体験の犠牲者の映像を皮切りに調査に乗り出すという口火の切り方は良好であったし、渦中の心霊現場に赴くまでの不気味な演出は控え目であるからこそ往年のJホラーの奥ゆかしい怖がらせ方の魅力の残滓をふとした時に感じられて良かった。
監督の本作に意図して配置された緩やかなコメディを踏まえて現代のホラーを楽しんでもらおうという狙いは失敗しているとは言い難く、廃墟突入前後までの作品としての雰囲気作りはやはり悪くない。
謎が謎を呼ぶ展開とそこで起こる怪奇現象の見せ方はまあまあ考えられており、低予算ながらホラー映画が果たすべき恐怖との接触による驚きも満たしている。それなりに甘く見た上での評価ではあるが、前二作と比較するとやはり遥かにマシである。
にも関わらず後半から村シリーズ特有の面白くもないトンデモな展開に舵を切るのはガッカリで、なんなら1.2作目のデッドコピー的な真相への帰結は全てを台無しにしている。全年齢対象作品である弊害として、口頭でそれが語られるばかりで画が見られないのはおぞましさとして非常に物足りないし、CGによる異形は奇妙ではあるもののホラーの味わいは既にたち消えている為に冷めた目で結末を見守る他なかったというのが正直な感想である。新鋭の女優Koki,の演技はそれなりに良好で、父親を感じさせる面構えの締まり方が画面に一定の緊張感を与える演技に作用しており、その点は文句なしで良かった。
