鰹よろし

水怪 ウォーター・モンスターの鰹よろしのレビュー・感想・評価

3.0
 その村では定期的に村人たちを惨殺に来る水猿なるモノを、古より水神様と崇め奉ってきた。村人たちはうら若き処女を生贄に捧げ、その都度その都度怒りを収めてきたという(収まったとは言ってない)...

 そんな水猿に父を殺された過去を持つ水生(スイショウ)という青年が主人公。彼には香蘭(コウラン)という想い人がいるが、彼女の父親を前に怖気づき交際に踏み切れないでいるいわゆる草食系?ヘタレ?男子である(弱いとは言ってない)。

 そんな折、10年の時を経て水猿が出現し村は大混乱。保守派の長老?と村長は再び生贄を捧げると言い、香蘭に犠牲を強いるのだった。水生は愛する人を守るべく立ち上がる...

 悪しき風習や伝統を妄信し強制する、それに異を唱える人間は異端とされるコミュニティにおいて、そんな状況を打破すべく常に犠牲を強いられてきた虐げられてきた者たちが奮起する超王道展開は熱いものを感じるし、しかもその原動力は愛であるというシンプルさも小気味好い。

 ジャケのデザインから規格外伝説級モンスターとのいろんな意味でハチャメチャな死闘が観られるとワクワクしたが、今作のモンスター水猿はその期待を真っ向から裏切る人間と同等サイズの超人タイプ。しかしだからこそ可能となった、近代武器が登場しない時代背景も相まった、中国十八番のアクションで繰り広げられる戦闘シーンは見応え抜群。

 デカさがモノを言うモンスターパニックというジャンルに、最近中国の参入が顕著で期待していたのだけれど、この作品はどこぞのパクリやオマージュで変に相手を大きくしなくても、散々磨いてきただろう対人アクションを軸に、散々擦ってきただろう歴史ファンタジーの様相を帯びさせることで、こういった魅せ方もあるのだと1つ中国におけるモンスターパニックの在り方を指し示すことができたイッピンではないだろうか。これからの中国の独自路線への期待を十二分に煽るモノだった。


「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(2005)...「DRAGON ドラゴン」(2015)...「アクアマン」(2018)...数あるモンスターパニック作品...
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