2020 年 10 ⽉、この映画の撮影中に、髙⽥賢三⽒は新型コロナウィルスの合併症によりご逝去されました。 私たちは 2018 年から⼆年以上に渡り、賢三⽒を撮影してきたため、この映画を作ることができました。賢三⽒がこの映画の最後に残したものは、80 歳になった彼⾃⾝を描いた⾃画像です。描きかけとなった⾃画像は、ある意味で賢三⽒が未来をどう思い描いていたのかを⽰しています。 この映画は賢三⽒が 80 歳になった⾃分と向き合うための⾃画像制作に密着しつつ、ファッションや彼のライフスタイルを通して、世界中に「⾃由」と「⾊彩」と「⽂化の多様性」を与えた、半世紀以上に渡るクリエイションと葛藤を振り返る⻑編ドキュメンタリーです。そして歴史上の偉⼈でもある賢三⽒の、最期の⼆年間を記録したドキュメンタリーフィルムでもあります。 賢三⽒は兵庫県姫路市で⽣まれ、花嫁修⾏の⾊合いが強かった神⼾の洋裁学校への進学を決意しましたが、男⼦の⼊学を断られ、やむを得なく神⼾の外語⼤学へ⼊学。その後、東京の⽂化服装学院が男⼦⽣徒の⼊学を受け⼊れたとの広告を⽬にし、家出同然で東京に向かい同学院に⼊学しました。同学院卒業後のその後のパリでの華々しい成功、イブ・サンローランや様々な⽂化⼈との交流、最愛のパートナー・グザビエとの出会いと死別、KENZO ブランドを LVMH に売却するという究極の選択、そして 2020 年の新ブランド「K 三」の⽴ち上げ。常に⼈を楽しませ、喜ばせようとする賢三⽒の⽣き⽅と情熱は、多くの⼈々をこれまでも、これからも惹きつけ、新しいことに挑戦するための希望を与えます。
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