ロンドン。牧師を装った吸血鬼が遠縁らしい女を拉致監禁する。40年ごとに行われる墓場での狂宴で、新しい身体に乗り換えるためだ。異種族婚を重ねて吸血族直系が絶えただの、赤ん坊が必要だの、吸血鬼がごちゃごちゃ言っているがよく分からない。だいたいこういう筋なんだと思う。
アマチュア的な映画でかろうじて鑑賞に耐えるのは、最後の十数分、儀式になってからだ。中世風の衣装をけばけばしくまとった死霊・フリークたちが墓地から湧いて出て、飲んだり食ったり討論したりする。ロンドンは夜になると警察の職質がいちいちうるさくて自由に動けない。アメリカかカナダに移住しなければ私達は滅びると、狂宴の絶頂の中で吸血鬼の親玉が唐突に叫ぶ。ここは、同性愛者ミリガンのユーモアか。
吸血鬼が血圧調整のために蛭で瀉血している場面がある。身体が古くなって血圧が一定しないのだろう。そういえばレイ・ダントン『デスマスター』(1972)の吸血鬼も金盥に蛭を飼っていた。ダントンはこの映画を見ていたのかもしれない。

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