だいカラさん

アリスとテレスのまぼろし工場のだいカラさんのレビュー・感想・評価

3.6
突然起きた工場の事故が原因で時間が止まってしまった街で過ごす14歳中学生の正宗くんとその仲間たち、街からは出られなくなり、どうやらタイムループもしている?変化を禁じられた街で無為な時間を過ごしていると、ある日なんだか気になる存在の睦実ちゃんから退屈を全部ひっくり返すことしてみない?と言われ、、

予告を観ただけではいまいち分かりにくく、実際観てみてもだいぶ難しい世界観のアニメだったな、という感じでした。流行りのセカイ系というジャンルに入るのかな。

思春期の絶妙な感じをいやというほど描いていて、観ている方が恥ずかしくなるようなセリフやシーンがたくさんありました。これを10代で観たらちゃんとした中二病になりそうな気がします。孤独とか葛藤を感じまくってしまう多感な時期なのに感情の起伏がキーになってしまうことが残酷だなと思いながら観ていました。自分ではどうにもならない14歳の中学生にとっての自分の街の大きさと外の世界の底知れなさと憧れってすごいもんなぁ。それと大人になってからの感じ方の違いも含めてね。そういう意味でも14歳って絶妙な年齢設定だなと思います。

ラジオが1つのポイントになっているのも好きでした、同じ放送がずっと続いているからこそのあのシーン、アツかったね。

ただ、理解が追い付かないのが悔しい感じではありました。ところどころとてもいいシーンはあったけど、本筋が謎すぎて着いていくのが難しかったのかもしれなかったです。
こういう話の時は、たいてい突飛な設定でも結果的にテーマになっているのは人と人の話だったりはするんだけどね。

最後の方のセリフからもやっぱり人の話だったんだろうな、と思わされました。

ただ、この映画のすごいところはなんといってもエンディングテーマが中島みゆきの心音という曲だということで。
さすがの中島みゆき御大、エンドロールで流れてきたどの文字よりも大きめでした。もちろん曲も映画に沿った感じでとてもよかったです。
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