ベビーパウダー山崎

霧の中のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

霧の中(2012年製作の映画)
2.5
極限状態に追い込まれた三人の過去が回想として描かれる。死と隣り合わせで思い出される記憶が物語に沿った流れでしかなく、それなら死に至るまでの過程を順序通り誠実に映すべきではないのかと、130分退屈な真面目さに付き合ったうえでモヤモヤとした。サスペンスのような仕掛けを期待しているわけではなく、回想という手段を安易に用いてしまう時点で映画的な感性の鈍さを露呈しているのだから、なにかしらぶっ込んできて、不快でも何でもよいから疵をつけて欲しいとは思った。悲劇も過ちも掛け違えた運命も霧に覆われていくラスト、アンゲロプロスには到底及ばない、身の程をわきまえてこういった曖昧なカッコつけはやめておいたほうが良い。