K

モガディシュ 脱出までの14日間のKのレビュー・感想・評価

4.1
1980年代、国連で最多の投票権を持ちつアフリカ諸国は当時国連加盟を目指していた韓国の外交戦略の鍵を握る存在であった。一方、当時北朝鮮はアフリカ諸国とは韓国より20年も前から外交を進めており、アフリカ諸国は北朝鮮が有利な形で北と南の外交合戦が行われていた。

そんな背景の中、ソマリア内戦が勃発し、両国の大使たちは内戦に巻き込まれてしまう。果たして南北両者はどう行動に出るか、、?

まず、内戦を描いているのでとにかく銃撃シーンが多いのですが、臨場感溢れるカットで見ていて面白い。歴史ものとしてリアリティの追求の完成度が非常に高い。

平時は当然お馴染みの北と南のいがみ合いはありながら、内戦という非常事態の中で、もはや敵の敵は味方といった枠組みを超えて、シンプルに心の通じ合う人間対人間でしかないことを体感した南北両者の人々の表情、最後のシーンに、いかにして同じ言語を話す同じ民族がが他国の政治・外交的利点という観点の上で分断されてしまっていて、歩み寄りたくても歩み寄れなのか、言語・民族・何なら人間としての違いなんて何もないのに、何故統一されることが出来ないのか、そんなクエスチョン、強いメッセージが静かにありありと表現されていて、南北朝鮮をテーマにした映画の中でもかなり意義深い作品だと思う。

この壁をいつか、誰かが壊すことが出来るのか。そしたら、子供たちの世代は再会したりできるのかな。
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