シネフィルFUKUHARA

戦場のピアニストのシネフィルFUKUHARAのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
5.0
ピアニスト、作曲家、ホロコースト生還者のユダヤ系ポーランド人のウワディスワフ・シュピルマン(Władysław Szpilman、1911年12月5日 - 2000年7月6日)の体験記を脚色して映像化したワルシャワを舞台としたフランス・ドイツ・ポーランド・イギリスの合作2002年公開のマイベスト映画。
※幼少時をゲットーで過ごし、母を収容所で亡くした経験を持つロマン・ポランスキー監督自身の原体験に回帰した渾身の一作。
※主演のエイドリアン・ブロディが、一部代役なしで臨んだピアノ演奏シーンもあるらしい。
※原作であるノンフィクションは、戦争直後のポーランドにおいて1946年に刊行。冷戦下のポーランドでは、主人公シュピルマンを救ったのが旧敵国のドイツ人では好ましくないため、やむなくオーストリア人としたが、ポーランド共産主義政権の手によりすぐ絶版処分となった。以降、ポーランド国内での復刊の試みも政府による妨害にあい、国内外で再版されることはなかった。シュピルマンの息子アンジェイ・シュピルマンが復刊に取り組み、ドイツでドイツ語訳版が出版されたのは1998年、イギリスで英訳版が出版されたのは1999年。
※カンヌ映画祭では最高賞であるパルムドールを受賞し、アカデミー賞では7部門にノミネート、うち監督賞、脚色賞、エイドリアン・ブロディの主演男優賞の3部門で受賞。
※「ホロコースト」:ギリシャ語を語源とした焼かれた生贄という意味を持つ。
※ワルシャワのゲットーに入ったユダヤ人約50万人は、飢餓や病気でほとんど全滅し戦後まで生き残ったのは20人にも満たなかったという。
※シュピルマンを助けた後悲劇の死を遂げたヴィルム・ホーゼンフェルト陸軍大尉 は生前の行いに対して2007年にポーランド政府からポーランド復興勲章が授与された。
※長男のクリストファー・ヴワディスワフ・アントニ・スピルマンは日本近代右翼思想の研究者で、福岡の九州産業大学元教授であり歴史学博士。そして「戦場のピアニスト」の続編「シュピルマンの時計」という本を日本語で執筆。