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くじらびとのTKHNのネタバレレビュー・内容・結末

くじらびと(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

手造りの舟と銛一本でくじらに立ち向かう漁を伝統として受け継いできた村の人々の生き方の美しさに涙が出る。
舟の舳先で銛を構えるラマファ、あの大きなくじらに身体ごと飛び込んで銛を打ち込むのにどれほどの度胸がいるのか、その一撃の成否に村の人たちの生き死にが懸かっている。1頭捕れれば村人が2ヶ月生きていけるそうだ。

将来ラマファになることを夢見るエーメン、笑顔が本当にかわいい。
彼が大人になって、今の男たちのように彫像のような身体、強さ、優しさを兼ね備えた迫力に満ちた表情を身に付けるのだろうか、、

1997年に出版された「海人|THE LAST WHALE HUNTERS」という写真集は石川梵監督が1991年から1997年にわたって取材、最初のくじらが捕れるまでに4年、次の3年をくじらの眼を撮ることに費やしたそうです。

写真集を開いて最初の1枚はラマファのぶ厚い足。次の1枚は漁の安全を祈るラマファ、ゴリス。映画にも通底するラマファの祈り。この写真集には映画にも登場するくじらの怒りの眼も収められています。

写真家石川梵監督の映像、うつくしさ、覚悟、やさしさ、癒し、苦しさ、悲しみ、祈り、揺さぶられる。
闘う舟でカメラを回すことはそれ自体命がけ、くじらの体当たりを凌ぎカメラを止めることなく撮り続ける。

一切妥協なく表現しきった映像。
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