Nana

くじらびとのNanaのレビュー・感想・評価

くじらびと(2021年製作の映画)
4.0
インターネットのおかげで、地球はずいぶん小さくなったと思っていたけど、久しぶりに「異文化」を感じたドキュメンタリー。
唯一の産業が捕鯨の、インドネシアの小さな島の話。
スキューバダイバーが見たら泣いて喜ぶマンタにモリを打ち、ザクザク切って食べちゃう(°д° )!!

「鯨を年に10頭とれたら島の人間が一年食べていける」
つまり、鯨はとった人の財産でなく島の命綱。鯨とり以外の家庭にも分かち与えられ、食料となるだけでなく、鯨の肉は物々交換で野菜やバナナにも交換される。
多分子供たちの教育費を捻出するのにも使われるんだろうな。
脳の油は照明に使うので、島の誰でももらうことができる。

バリ島で見た、目のついた魚がついた船は島の人の手作り。
「船は生き物」とリスペクトしてるから、鉄の釘は使わない。モリや網ももちろん手作り。女性も総出で道具を作る。

鯨がぶつかったら転覆しそうな船で、鯨とりは海に出る。
マンタやジンベイ、鯨がいたらモリを持って、海に飛び込んで行く。
魚が暴れたら肩を痛めて手を失う人もいるし、マンタがそのまま深くに沈んで行き、モリについた縄が手や足に絡みついたままだと、一緒に海に引き込まれ、死体も上がって来ない。
愛する人を失って、家族は声を上げて号泣する。

鯨を捕るシーンはセンセーショナルだった。鯨も人も命がけ。真っ赤に染まる海。
クレーンも大型冷凍庫もない島で、人力で鯨を砂浜へ上げ、ナイフ?で素早く解体し、島の人に正しく分け与える。
切り身を干していたけど、暑い国であれで保存できるのかな??

グリーンピースも来ない島で、今もこんな暮らしをしている人がいるなんて驚きでした。
初めて海に出て船酔いして寝てたあの少年も、立派なくじらびとになるんだろうな。
Nana

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