The Son／息子のTakuのレビュー・感想・評価

前作『ファーザー』が認知症当事者の追体験的作りであったが、今回は当事者に対する「非当事者の当事者性」を観客に突きつける映画になっていた。心の病を抱えた息子の存在を周回するように、彼に触れようとも触れられない親達が描かれる。
恐らく「息子視点の少なさ」への批判もあるだろうが、このような作品では「いつの間にか感」が肝だと思っている。息子の側にいながら、その深刻な状況に気が付かない親（特に父）が無意識のうちに息子を苦しめていく。＂いつの間にか＂彼／彼女は深刻な状態にある。