ボロロボ

The Son/息子のボロロボのレビュー・感想・評価

The Son/息子(2022年製作の映画)
4.2
劇作家フロリアン・ゼレールによる家族三部作の一作。前作『ファーザー』に続いて自ら監督している。お話に連続性はないが、『ファーザー』を観ておくと「オッ」と思えるところがある。

とても切ない。
とにかく辛い。
取り返せない喪失。
難しい思春期。

親の心子知らず。
子の心親知らず。

完璧な人間なんていない。
完璧な親もいない。
完璧な子供もいない。

自分の息子。
自分も息子。

生育で刻まれたものは、望むと望まざるとに関わらず受け継がれる。
理想と自己とのギャップ。

役者陣の演技は見事の一言に尽きる。
なのだが【ほぼリハなし】に驚愕。

登場人物の造形は見事。

計算されたカメラワークにも恐れ入る。
見せるべきもの。
あえて見せずに考えさせるもの。

劇伴はハンス・ジマーだった😮

『ファーザー』と違って当作では屋外でも撮影してたが、極めて印象的だったのはやはり室内で繰り広げられる劇だった。

ラストは予想できつつも、あの演出は非常にずるい(褒めてます)。

他のユーザーの感想・評価

N

Nの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

精神疾患を自分で患ったり、身近にいたりすると、ヒュージャックマンとローラダーンがとる行動は全てミスチョイスだと気がつくが、彼らはどんどん底に落ちていく。ヒュージャックマンは基本育児はやっておらず、たまに息子とシリアル投げ合ったり踊ったりして、気を許したプライベートの自分達を見せ合うことが仲の良い家族だと勘違いしていて、空っぽの男。家のインテリアも、金持ちが好きそうなダメージ感ある家具や壁が彼の空虚さを演出してる。彼が最後に決断するアレも、自分のプライドや愛とかそういうのではなく、ホントに息子のニコラスにとって大事な決断をできなかった説得力があった。支えることはできても、病気は愛では治らないが、精神疾患はそういう残酷な事実がフィクションでも十分に描かれてこなかったと思う。

物語のモデルは監督の息子さん。エンディングで謝辞の名前にあったガブリエルは息子の名前だとか。そして、インターン生役を演じてたのがそのガブリエル。ガブリエルは別の世界線のニコラスだったのかもしれない。

フロリアン・ゼレール監督インタビュー
https://eiga.com/news/20230317/26/
hana

hanaの感想・評価

3.8
飛行機で見たので後半残り時間を思わず確認してしまった

この結末でないパターンもあって良いのではと思うけど
空虚なすれ違いがうまく描かれてた
キャストがほんとにみんな良かった

ヒュー・ジャックマンだけは途中で劇画タッチに見えた笑
あぽapo

あぽapoの感想・評価

3.2
何故だろう、意外とハマらなかった作品。

ニコラスの苦しみは分かる。どうしても人生の重さが抱えきれない時がある。それは一つの事が原因じゃなくて過去の色々な経験が積み重なっておこるから簡単に説明することはできない。

その事ってなかなか気づいてあげられなくて目先の問題ばかり解決しようとしてしまう。親子のすれ違いってこうゆうことで起こる事が多そう。

子供の頃こんな親になりたくないと思っても、そうなってしまう時があるんだろな。都合の良さとか世間体で子供に1番寄り添った言葉をかけてあげられないことがあるよなと思うと親になるってなんて難しいんだと思った。

医者の愛だけじゃ解決できない事があるという言葉が響いた。親の愛に気づくのはきっと何十年後なんだ…。愛は後から効くんだ…。
Kouta

Koutaの感想・評価

3.7
2023:映画館29作品目
合計:53作品

前作もそうだったけどほんまに予想だにしてなかった方に展開していく。
親の愛情が上手いこと気持ち悪く感じる。
ニコラスのなんとも言えない不気味な雰囲気が最高だった。
reogaru

reogaruの感想・評価

3.7
心の病…本当に難しい事なんですね
数値がちゃんと出る訳でもない
それぞれの症状、それぞれの治療法
はっきりしたものは無く絶対はない
患者が子供の場合は親の権利もあるので
本当に救うのに難しい病なんですね
必死に説得する医師
必死に訴える息子
息子を信じてあげたい…
自分をその立場に置いてみても判断するのは苦渋の事
どちらかを選ぶという自信はない

ピーターには、良い父親になってほしい
t

tの感想・評価

3.6
観終わって、しばらくしてから悲しくなる。息子がいるから尚更、、
ファーザー同様切なすぎる
息子にした最後の選択は最悪でしたわ。それまで息子と過ごしてきた時間の中でなにも出来ないことはわかるでしょうに。。。
琥珀

琥珀の感想・評価

4.6
たまたまなのでしょうが、家族愛をテーマにしたアカデミー賞作品も同時期に上映中。

小難しいことを言うつもりはないのですが、家族、ときたら〝愛〟が続くことが、さも当たり前のように語られ過ぎな気がします。世の中には、家族愛と同じくらい、家族憎という感情があるように思います。
平均寿命が50歳前後の時代までは、60歳まで生きる人が滅多にいなかったから、還暦のお祝いが特別なことでもあったし、70歳まで生きるなんて古来稀(まれ)だったんですよね。
働いて、稼いで、食べて、生きることだけで精一杯の環境では、家族の関係性は、愛よりも、家族がひとつの共同体として生き延びていくのに必要かどうかで成り立つという要素が強かった。
と書くと、そんなのは遥か昔のことのように思われる方もいらっしゃると思いますが、『82年生まれ、キム・ジヨン』の時代の韓国では、稼ぎ手となれる男の子を望む人が多いから、妊娠しても女の子だと分かるとかなりの割合で中絶させられたそうです。だから、統計上も有意なレベルで男性の方が人口が多かった時期がある。ひとりっ子政策時代の中国でも、同じようなことがあったようです。

話が変な方向にずれましたが、授かったこどもへの愛ですら、こんなに不確かなのですから、性格も個性も別の人間である親と子どもが、相思相愛というのも、そうであって欲しいとは思うけれど、現実はなかなか難しい。

期待通りに育ってくれない我が子。
子どもが望む理想像にはほど遠い父、あるいは母。

当然、他の誰よりも長く一緒に暮らし、人間的な本質や本音を知る機会が多いから、強固な信頼関係も築けるし、逆に覆せないほどの不信しか持てないこともある。

もしかしたら、私個人の感性が、世の中の平均と大きく乖離しているのかもしれませんが、家族関係の中に無条件で自然体の愛情なんてものは無いと思ってます。
配偶者との関係が長く続くためには、信頼関係を損なわないための努力が必要だし、子どもとの関係でも、極力、自分の決めつけによる押し付けがましさが出ていないか、キチンと聞く耳を持っているか、いつも意識しています。
などと書き連ねると、いつも緊張しっ放しで相当疲れてそうですが、割りとすぐに慣れます。
つまり、人間が意識や感情というものを獲得して以来、愛情という不確かなものよりは、他者とどう向き合うかを考え続けることのほうが自然体(本能)として身についている、ということです。愛に頼るより、信頼関係を育むほうが、共同体が生き延びる可能性が高いからです。

長々とつまらないことを書いてしまいましたが、つまるところ、家族愛の物語というのは、信頼関係の構築における失敗、恢復、成功、後悔の物語。
そして、人間として生まれてきた以上、誰もが生きていくうえで、経験したこと、いま経験していること、これから経験するかもしれないことばかりなので、登場人物の誰かしらに感情移入せずにはいられなくなる。

どなたにとっても、深く身につまされる作品だと思います。

このレビューはネタバレを含みます

最悪の結末。
でも、両親はできることはやったと思う。正解では無かったかもしれないけど。
初めての子育てなんて、初めてだろうが何人目だろうが、同じ方法で同じように育つことなんてないし、正解もだれにもわからないし、環境や性格の影響はあっても人はみんな違うから、何がその人に合っているかもわからないし。
両親の離婚でこんなにも傷ついてしまう人もいるし、全く関係無く元気に過ごせる人もいる。
離婚しなければ彼は子供の頃から変わらずピュアに生きられたのかと言ったらそうでは無いとも思う。
こないだ観た対峙もそうだけど、どんなに親が子供を愛していても、健やかに元気に明るく生きて欲しいと思っても、思い通りにいくって中々無いはず。
思春期のあれこれ程度で済めば後から笑い話にできるかもしれないけど、今作のようなどうにもできない場合だってありえる。
子供ってめちゃくちゃかわいいし、愛おしい存在だけど、どれだけ愛して育てても手に負えない犯罪者になる可能性だってあるから、私はやっぱり産みたいとは思えないんだよねぇ。

2023.23
まさ

まさの感想・評価

3.8
重い…

家族愛が無い家庭の方がこんなことにはならないんだろうな…
愛ゆえの…というか…

人との繋がりっていうのがこんがらがっちゃうと、イヤホンみたいに絡まりを逆行して解いていくっていうのができないから、どんどんどんどん結び目がきつくなっていっちゃうというか…考えれば考えるほど、余計こんがらがっていく気がする…
シンプルに考えれる方が真っ直ぐ伸びていくだけだから絡まったりしないんだろうなぁ…
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