うにゃ

The Son/息子のうにゃのネタバレレビュー・内容・結末

The Son/息子(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

前作「ファーザー」鑑賞済み。
今作もパンチ力ありました。

ニコラスが言ってた。
「父さんが出て行った後、母さんは傷ついて父さんをののしった。」
父親が好きなニコラス。
自分も母親と同様に父親に捨てられたと傷つき、母親が父親をののしる言葉に悪い影響を受けたんだろう。
でも、母親はニコラスを愛している。
ニコラスも。でも辛い。

父親と再婚相手、義兄弟セス(赤ちゃん)の家へ引っ越す。

鬱病で自傷行為をするニコラス。

父親の不倫相手、再婚相手であるベスが言う。
「人生を楽しみたきゃ子供は要らない」
「冗談よ」

ニコラスはこの言葉を冗談だとは受け止められなかっただろう。

出産後初めてデートに行く予定の父親とベス。急にベビーシッターが熱を出して、来れなくなる。
ニコラス「僕がセスをみようか?」
ベス「気持ちは嬉しいけど…」
と断る。立ち去るニコラス。
父親「どうしてせっかくの親切を受け入れないんだ?」
ベス「ニコラスは、不安定だし、気味が悪いのよ!」
会話を聞いてしまうニコラス。

この会話は父親がよくない。
鬱病で自傷行為までするニコラスに赤ん坊を預けられる訳がない。

その後、ニコラスは自殺未遂を図るがベスが発見して命は助かる。しかし、少しの間精神科に入院する事になる。
数日後、心配している両親と面会するニコラス。
精神科医は、安全の為にもう暫く入院する事をすすめる。
ニコラスは
「ここにいたら薬漬けにされる」
「もう普通の生活をおくれると思う」
「僕を見捨てないで」
と両親に訴える。
精神科医は安全じゃないと警告する。
悩んだ両親は…退院させる。

ベスはセスと共にトロントへ行っていて不在。
父親の家で母親とニコラス3人、久しぶりに幸せに会話する。
「病院のお風呂は汚くて、一週間もお風呂に入ってないんだ。お風呂に入るよ。」
と言いながら、今までの謝罪と感謝を伝えるニコラスは浴室へ。
両親は、ニコラスの様子に安堵した様子。
鳴り響く銃声。
悲鳴を上げる母親。

数年後、ニコラスがいる妄想を見る父親。
「自分のせいだ」と泣く父親に「人生は続く。セスを想って」と話しかけるベス。

ヒュー・ジャックマンの演技が心を抉る。


後半は、ちょっと不用心だと思いました。
鬱病は簡単に治りませんし、あんなに沢山の嘘をつくニコラス、自殺未遂、そして医者が警告していたにも関わらず、1人で浴室へ行かせるのは疑問でした。
洗濯機の後ろに銃があるのは、わかってましたし。

母と一緒に鑑賞したんですが、母が「危ない危ない」と何度も言っていて大変申し訳ない気持ちになりました。

鬱病が酷くなり自殺願望が芽生えると、その目的達成の為なら、どんな事も出来ると思うようになります。
今までついた事がない嘘を、平気で家族につくようになります。
私も過去にニコラスのような鬱病を体験し、何度か自殺を図りましたが家族のおかげで助かりました。
入院をすすめられましたが、精神科への入院は私が耐えられないかもしれないという家族の判断で、アドバイスを貰いながら家で厳重に見守るという話になりました。

例えば私の場合、大食いだったのがかなりの小食になった為、家族がエネルギーをあげようと必死でした。
なので、
「今日は気分がいい。甘いもの、皆でケーキが食べたいね。」
と家族に話をします。
フォークを手に入れる為です。
しかし、ケーキをくれた家族が私に渡したのはスプーンでした。
ケーキは食べませんでした。
とても申し訳なかったと思っています。

その間、兄弟は実家に戻ってリモートワークを始め、家族2〜3人で私をみていました。
馬鹿力が出る為、私が危険な行動を起こす時に1人では抑えられないのです。
何度、はがいじめにされて拘束されたか分かりません。
絶対に1人にはしてもらえず、トイレもドアを半分開けるのが条件でした。
お風呂に入る時は、母が一緒に入ってきて、私が何かしないか見守ってくれました。
眠る時も家族が、交換で眠って私を見ていました。
家族のおかげで、今生きています。
家族には感謝してもしきれません。

映画のラスト、父親がみたニコラスの立派な姿。あれが現実だったらよかったのにと思えてなりません。
うにゃ

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