マサミチ

流浪の月のマサミチのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
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常識とゆう範疇で捉えるとなかなか理解し難い物語である。

文と更紗、2人の関係は恋愛でも無いし友情でも無いし擬似的な父と娘や兄と妹でも違う、 どちらも社会的枠組みから外されたアウトサイダーであり、その魂が共鳴し合った末の2ヶ月間の共同生活だったかもしれない。

それはもちろん社会の中では誘拐と呼ばれる犯罪行為となり、2人は犯罪者と被害者とゆう相反する立場に置かれ引き剥がされる。

そして15年後の再会は2人にとっては必然だったかもしれないが、無垢であるには2人は既に大人になってしまっていた。

社会とゆう枠の中で生きていく為には世間体とゆうヨロイが必要で、2人はそれぞれにそれを恋人に求めたのかもしれない。

しかし2人はまた偶然繋がってしまった。お互いの恋人とゆうヨロイを捨て、共鳴し合う2人。

と、まァ粗筋を書いてはみたが、自分の感想としては冷静に観るとアラは目立つ話だと思う。

特に大人になった広瀬すず演じる更紗の感情のライン、横浜流星演じる更紗の恋人の策略で松坂桃李演じる現在の文の居場所と姿がSNSにアップされた事に更紗は「文がやっと掴んだ生活を壊した」と怒りをあらわにするが、その後の彼女の行動、文のマンションの隣の部屋に引っ越す事で彼に迷惑をかけることを考えないのか?ここの彼女の矛盾した行動論理が引っかかる。

ましてや預かったバイト先の同僚女性の子供まで連れ込むのだ。

ここら辺は追い詰められてゆく2人のドラマ展開を生み出す無理っぽさは感じる。

ただし、この物語はそんな常識から外れた心の奇形児とも呼べる2人の魂の共鳴がメインであり、細かいアラ探しは無粋かも知れない。

正直に云えばこの監督さんの作品は今まであまり好きになれなかったのだが、原作がしっかりしているのか、見違えたように演出力が上がってると思う。

松坂桃李と広瀬すずはキャリア最高レベルのお芝居を見せた。

意外と云えば失礼だが、横浜流星のDVの恋人はありきたりなキャラクターなんだが、更紗を束縛したい焦りと苛立ちを良く表現していた。こんなに出来る役者さんだったとは。
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