A

流浪の月のAのネタバレレビュー・内容・結末

流浪の月(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます


後半ふみが何かかけた人間だとわかってすごく切なくなった怖くもあった。(身体的欠損=全人的な欠損だとは思ってない)これこそ「本当の愛」だと思った私は欠けてる人間なのかと、変な人間なのかと。
それにふみにもがっかりした。身体的な欠損があったから身体的接触がなかったのかと。欠損があるから触れなかった、触れれなかったのかと。
深いところで振れてしまったからの精神的な繋がりがあるのかと思っていたけど、そうではなかったのかなと思った瞬間が、今までの感覚を無かったことにしようと頭がすでに動いてしまった。「人は見たいようにしか見ない」本当にそうだった。
身体的接触がなく一定の物理的距離があるから小児性愛ではないと思っていた。本当のところはわからないけれど、私の期待は血も流さず次々と剥がれ落ち、なかったことにすらしようとしていた。

「幻滅した」と話した時私の予想外に笑ったスクールカウンセラーさんが言った。「幻滅できるほど、人に期待したってことだよ。」



今まで見た映画の中で1番の恋愛映画だった。
「あの感触をたよりに生きてきた」
わたしたちにしか見えない、わからないことがものがある。そんな人を見つけれたらたよりにして自分で立って生きてゆけるのだろう。私も愛おしい愛せる人を見つけれたら食欲出るのかな。
「迷惑?」「迷惑かける気?」「じゃあいいんじゃない」



途方もない悲しみが湖であり、雨である。
雨の日ってずるいよね。目の前にずぶ濡れの人がいたら服をかけてあげたいと思ってしまうから。理由を聞くよりも先に寒さを凌いであげようと思ってしまうから。

そして私は映画を見て、自分の中に湧き上がってくるものを認識し言葉にして、他の人のレビューを見ることが好きで、それが私にとっての期待する深さでのコミュニケーションだったことを思い出した。久しぶりに自分と会話できる映画を見れて大変嬉しく思う。心の振り子は「怒り」ほど振れなかったものの、満足感がある。自分にとっていい映画に出会えるほどの幸せは他に変えられない。

財布から雑に出そうとする小銭と擦れる音、木が揺れ枝が軋む音、アイスクリームを食べるときに歯にあたるスプーン。

冒頭の保証人の話。すごくリアル。生々しい話。
私も大学院行きたいから受験すると親に言った時に「保証人にはならないからね」と言われクソほど泣いた22歳にもなって。私は普通でいられないからなんだ
。普通にしていれたら保証人になってくれたのだろう。普通でいられないのは先天的な問題。なら産まなかったよかったのにって何度喉元まで上がってきたことか。ないよりかはあったほうがいいからいつでも切れそうな縁を紡いでる。
今以上を求めるのが悪いのかな。専門分野で、議論したいと思うことは悪なのかな。


早く精神的にも経済的にも自立し1人で生きていける道を選んできた。でももし近くに手を伸ばせる距離に温度を感じたら期待してしまう。本当はひどく寒いと言ってしまいそうになる。でも期待すると余計に痛むのを知ってるから、明日からはまた普通に生きてるように繕う。悲しみが重すぎることは自分でわかってるから人に見せれない。相手が負担に感じてしまうだろうから。そうやって私の悲しみは深いそこに沈んでいく。できるだけ気づかないように。気づかれないように。
A

A