トム

流浪の月のトムのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
3.8
●あらすじ
15年前に誘拐児だった更紗は、現在婚約直前の亮と同棲し、アルバイト生活を送っていた。

そんな更紗はとあるカフェで、自分を誘拐したとして逮捕された文を見つける...。

●感想
「流浪」
ー住むところを定めず、さまよい歩くことー

各登場人物には「孤独」の背景があり、「私の居場所はどこなのか?」「私を分かってくれるのは誰なのか?」放浪する様子が描かれる。

序盤のテンポが少し遅く感じたが、丁寧な作りではあったと感じる。

更紗と文をメインとしてスポットライトが当たるのだが、私は亮、そして文を好きな女性についても考えらせられた。

特にマイノリティの本心とはことなるが「好きになってみた」で消費される側の人生について、特に残酷だなと感じた。

マジョリティとは違うのか?自分を確認するために、本心とは違うことをしてみる。でも相手は本気になって時間も思い出も自分に捧げてくれている。本心では好いてないなら、ただの遊びになってしまう。それはその人の時間を奪うことにもなる。

マジョリティに溶け込もうと本音を隠すことで、マジョリティ側は犠牲となってしまう残酷性も存在しているのが確認できた。
これは、どちらが悪いと言うものではなく難しいところだなと思う。

ただこれだけは言える。本心を押し殺して、自分を偽る必要はそもそもいらないんじゃないかと。ただ当事者からすると、自分の本心が正解かも分からないから確認のために試したい気持ちもわからなくはない、、、。

ただ、亮はクズ野郎とこは多々あるけど、亮が主人公として描かれるなら、結婚間近でパートナーが消えたり、嘘つかれたり、誘拐犯に会いにいかれたり、可哀想だなと感じる点が多くて悲しかったな、、、。

他に考えらせられる点については、
ネットは事実を確認せず思い込みで、暴走する危険性があること。

よくあるのが、Twitterなどで犯人不明の殺人事件でも、旦那が犯人だ!、母親が犯人ぽいよね。など、決めつけの誹謗中傷で溢れること。

彼らは何の責任も持たない。
この感想を書いているタイミングで、
タレントのりゅうちぇるが自殺したと知った。

SNSが普及されたことで、
あまりにも社会は残酷になったのかもしれない。
トム

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