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流浪の月の445のレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.3
言葉で言い表せない心情や関係、現象がたくさんあるのに、多様性と言いながら世の中は名前をつけたがる。そして見たいように見て、推測で判断する。
あの子は変わってる、あの人はきっとああに違いないって、自分も無意識にそうしているし、きっとそう見られてる。

二人の何が悪いのか、ここまで言われることなのか納得がいかないまま観ていて、その辛さは映画「正欲」と通じていたように思う。

自分もあんな子どもに出会ったら、家に入れてしまうかも。あれが女同士ならここまでにはならないのか。

本当は幸せなのに不幸だと思われる暮らしと、どこか欠けているのに幸せだと思われる暮らし、どちらもが描かれてどちらも辛い。

誰からも気づかれずひっそりと平穏に、自分の思うがまま美味しいものを食べて暮らすことがどれだけ尊いものか。

文といるときのさらさが明るくて生き生きとしていて、それが表れていた。

役者さんの表情のお芝居が皆素晴らしい。
長野の光景も家やカフェの世界観も美しかった。

余韻の残る作品。

どこかで平穏に暮らしていてほしいなぁ。
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