2人だけの世界と世間の認識とのギャップを描いた作品。とっくの前に読んだ本だけど「事実と真実は違う」という言い回しは覚えていた。物事は多角体で見た人によって様々だけど本当の真実は本人間でしか分からないみたいな
亮の抱いている更紗への被害者というレッテルをラストの展開も踏まえて考えると、性行為の加虐性を浮き彫りにしているようにも感じた。
原作のある作品は映像に置き換えると、文字媒体以上に映像には生々しさが加えられるため、原作通りに映像にすると大袈裟に感じられる。いくら信頼があると言ってもロリコンである(と思っている)文の元へ、更紗が梨花を預けてラストの展開になるのは余りに間抜けに感じた。
演技は上手いし序盤の鏡越しに亮が更紗に「嫌だった?」と機嫌をとるショットの更紗の表情はすごく良かったけれど、反対に丁寧過ぎるというか脚本以上の表情が見えないようにも感じた。
たまにくる構図が止まった様な真正面のショットは、前後の遮られたショットとのコントラストとして、印象的に位置付けられていて良かった。たまにくるフィクション感のないみずみずしいシーンも良かった。