ひろさん

ミラベルと魔法だらけの家のひろさんのネタバレレビュー・内容・結末

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

それなりに楽しめるが、宣伝広告と違って大人向けの味付け。

コロンビアのとある地方のマドリガル家では、家族一人一人に対して、職務・役割のメタファーとして魔法が与えられるが、主人公だけは家族の一員なのに魔法が使えない。

だが等身大の存在だからこそ、家族の不安や不満を引き出すことに長けていて、最終的には、誤った家族統治をしている世帯主に反論して解決に導く。というお話。

面白いのは、魔法を使えない主人公が、魔法を使える者側のプレッシャーや苦しみに共感していくことで、他人も自分と同じように不満を抱えている事を理解し、大きな力になるという構成。

そのため、物語の大半が家族の内面深掘りのシーンに費やされることになるが、そこはミュージカル仕立てで表現。

ただし個人的には、本当の私は〇〇ソングが繰り返されるため、話が鈍重に感じ、歌が始まるたびに少しくたびれてしまった。
特に、ターニングポイントになるブルーノとの出会いまでが長すぎるせいか、物語中盤までの起伏の無さが退屈に感じる。

そもそも魔法を扱った映画なら、重苦しい話ではなく、もっと純粋に魔法を使った活躍を楽しみたいのが本音。もちろん、主題とずれるのでそれも叶わずなんだかもどかしい。

少なくとも、全年齢向けのディズニーミュージカルをイメージしている人にはお勧めできないが、役割ベースの社会を生き抜く、屈強な大人にはヒットする作品ではないかと思う。