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レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―の一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ジョン・ウー監督作。

中国・三国時代を舞台に、曹操と劉備・孫権連合軍の対決を描いた歴史スペクタクル。

『レッドクリフ PartI』(2008)の続編にして完結編で、三国志において最も名の知れた戦いの一つ「赤壁の戦い(西暦208年)」をエキストラ総動員の圧倒的スケールで活写した歴史スペクタクル。前編に引き続き、呉の司令官・周瑜役にトニー・レオン、蜀の軍師・諸葛孔明役に金城武が出演している他、周瑜の妻・小喬役にリン・チーリン、孫権の妹・尚香役にヴィッキー・チャオ、呉の将軍・甘興役に中村獅童と東アジア各国の俳優が結集しています。

前編で曹操の猛攻を一度は退けた劉備・孫権連合軍ですが、物語はいよいよ「赤壁の戦い」の本戦へと突入していきます。赤壁に陣取る劉備・孫権連合軍計5万の軍勢に対し、長江の対岸に拠点を置く曹操は2000隻の水軍を合わせて計80万の大勢。劉備・孫権にとって圧倒的多勢に無勢の不利な状況の中で、曹操の陣地にスパイとして潜り込んだ尚香の活躍と、周瑜の了解を得ずに単独で決死の行動に出る妻・小喬の姿を織り交ぜながら、両軍激突の全面対決の行方をダイナミックな映像で活写しています。

矢の不足に直面した劉備・孫権連合軍は諸葛孔明の奇策により敵側から大量の矢を入手することに成功しますが、これは吉川英治の「三国志」でも描かれた有名なエピソードです。子ども心ながらに諸葛孔明の知力の高さに感心した記憶があります。諸葛孔明が知略を見せれば、今度は呉の周瑜も知恵で曹操を翻弄する。曹操の強大な水軍を率いる二人の将軍を敵の内部から破滅させる奇策を実行するのです。諸葛孔明と周瑜、二人の軍師の奇策が曹操を激しく翻弄し、やがては“天候”という人の力の及ばない運命的な要素が戦況を大きく左右していきます。

アクションは前編以上の見応えです。前編では前哨戦でしたが、後編では赤壁の本戦が描かれるので戦いの規模自体が大幅スケールアップしています。水軍を襲う火計と水上戦から、曹操の本拠地における両軍将軍勢揃いの最終決戦に至るまでCG+エキストラ総動員の圧倒的映像で描き切っています。所々に見られる“クサい”演出が欠点ですが(中でも尚香の淡い恋愛末路は失笑ものです…)、それを差し引いても見応え充分の歴史スペクタクルです。
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