ぽち

ヴォイス・オブ・ラブのぽちのレビュー・感想・評価

ヴォイス・オブ・ラブ(2020年製作の映画)
2.0
伝記物の最悪の見本としては一見の価値がある作品。
終始「なぜ作ったの?」という疑問が頭から離れない。

まず、原題「ALINE」からして疑問。大々的に「セリーヌの伝記」として売っているのになぜ名前を変える?

公式ページの言い訳が
「世界に一人しかいない大スターへの敬意を表するために本作では役名をアリーヌとした」

おいおい、そりゃないだろ。
調べてみると、セリーヌ家からダメ出しを食ったのが原因のようだ。

オープニングテロップでフィクションと言い切っているのに、なぜ伝記?

せめて音楽だけでも本物を使っていればまだ聴けるのだが、それさえヴィクトリア・シオと言う歌手がカバーした音。

どこに今作の存在価値を見つければいいのか分からない。

セリーヌの伝記という事を考慮からはずして、単にドラマとして見てもサクセスストーリーとしてあまりに平坦。
おまけにラストの説教臭い楽曲といきなりのエンド。

邪推すると、監督、脚本、主役、をこなしたヴァレリーがセリーヌになってみたかっただけって思えて仕方ない。
ちょっと顔つきが似ているので、コメディエンヌ的に演じたのではないのだろうか。美しさは本物の方が上ってのも笑える。
それに口パクが微妙に合っていなくてほとんど歌っていると見えないのもマイナス。

伝記物としてやってほしくないことをすべてやっているという逆グランドスラム的な作品で、セリーヌ家が反対するのも分かる。


余談。
超マニアックなツッコミを‥‥

セリーヌは1968年生まれ。12歳デビューなので最初のステージなどの映像は1980年頃ってことになる。

なのにいきなりキーボードに「KORG」の大きなロゴ。
これってM1以降のの商品についていたロゴで、1980年頃は無い商品。
おまけにドラムにDWの文字。これもまだハードウェア専門でドラムセットはほとんど作っていなかった。

一般人にはどうでもいい事だけど、それ関係の人には時代劇に電線が映っちゃったぐらいには笑えるネタ。
ぽち

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