イヴ・モンタンのための作品で、彼の魅力が遺憾なく発揮されている所から、その使命は全うされている作品。
撮影当時62歳という年齢だが、これだけの色気を持っていることがスターの証だろう。
ストーリーに起伏はそれほどなく、淡々と日常を追っているタイプではあるが、その中でまるで実生活のモンタンの派手な女性歴をパロディにしたようなところは、本人もジョークとして演じているのだろう。
ダンス関係のギャグやシークエンスは自虐的で笑えた。特に「アステアが出てきちゃ勝負にならないだろ」は笑える。
困ったギャルソンの友人を居候させたり、遊園地の夢を追ったりと、ちょっと青春物の風味がるのも楽しい。
イヴ・モンタンのアイドル映画なのであまりきつい性格にできずに、良い人全開なのはちょっと物足りないが、その分脇のキャラが立っていてそこが見どころだろう。
こんな歳のとり方が出来たらいいなぁ。と思わせる作品。
余談。
居候君と厨房の怒鳴っているおっさんがかなり良いキャラクター。
特に厨房のちょっとヴィっく・モローに似たおやじは、素直に謝ったり、居候君がやめるといった時の反応とか、「こいつ実はイイやつだな」ってキャラが魅力的だった。