誰のために、何のために存在し、
誰のための、何のための制度なのか。
おおまかなあらすじしか事前把握していなく、娘ジェシーが妻の連れ子だと知らずに観てしまい、冒頭の父娘のシーンからして涙。
シングルで娘を育てているわたし、できることなら恋愛なんかしないで生きたいけれど、その決意すら揺らがすほどの人と出会ってしまったとき、わたしだけでなく娘もその人を選んでくれたらどんなにいいだろう。
ラスト、娘ジェシーの一言で劇場は嗚咽に包まれていたしわたしもわんわん泣いたけれど、
その少し前の実の父親エースと娘が抱き合うシーン、アントニオが娘に触れようとした瞬間さっと一歩引くシーン、それもまたありうる現実だよな、と思ってじわじわ泣いてしまった。
妻にとってアントニオは自分が選んだ愛する男だけれど、娘にとってはそうとは限らない。
本作ではそれでもやっぱり最後の一言があるから、アントニオと観客にとっては単に泣かせる言葉になっているけれど、ジェシーの母である妻キャシーにとっては、自分が選んで愛した男を娘も同じように選んでくれる、という事実が少しだけ救いに感じた。少しだけ
本筋の移民問題に関しては恥ずかしながらまったくの知識不足で、初めて知る現実・現状ばかり。
それもあってひたすらに妻キャシーに感情移入してしまい、辛い、苦しい。
30年も経っていても、こちらで家庭を築いていても覆せない、それだけの制度が設けられているほどなのだから、移民を野放しにしておけない理由も、制度があるから助かっている人もいるんだろうけど、そこもやっぱり背景の知識不足なので、彼が強制送還されることによって誰が幸せになるのだろうか、と思ってしまった。
監督・脚本・主演を自らすべて務め、世界に訴えるべき現状を映画という形にしたジャスティン・チョンは称賛に値。