デヒ

ブルー・バイユーのデヒのネタバレレビュー・内容・結末

ブルー・バイユー(2021年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

映画が始まってすぐに、黒い画面に女性の声の韓国語で「자장 자장 우리 아가」という子守唄が流れる。この時点から涙が出た。映画の終わりにはアントニオの声で子守唄が歌われる。首尾相關。家族は結局会っただろうか。希望が見えながらも、ただの夢なのかな。

米国の養子にもかかわらず、市民権の資格なしに不法移民者の烙印を押され、強制追放されるしかない現実を描いた映画。移民者と追放を描いた映画なので、結末では必ず別れが登場した。 別れを描いているが、涙を絞り出そうとする新派的構成でないのが良かった。額縁の構成で、アントニオの過去と記憶を一緒に見ているような気がした。ドキュメンタリー構成。

映画は,アントニオの人生に追随する出生が主軸になっている。最初の場面と最後の場面、黒い画面の子守唄、アントニオの秘密空間(湖)、水に溺れた水中のアントニオ、湖に浮かんでいる船の上に座っている韓服(ハンボク)を着た女性、「水に溺れさせて殺そうとした」という内容が書かれているアントニオが12歳の時に送られてきた手紙、ベトナム女性との対話の場所、アントニオがすべてを諦めて湖に落ちて自殺を選んだ時、母との再会など…。タイトルのように「ブルー・バイユー」は、アントニオにとって母を思い浮かばせる唯一の場所であり、考えの整理ができる空間である。母という意味と一緒に湖の意味もあるが、湖=想像、それから母のおなかの奥みたいな感じもした。水におぼれた時、安らかに見えた姿が印象深い。

本映画は在米韓国人のジャスティン·チョン監督が演出、製作、脚本、主演をした作品である。 アメリカで制作された映画だが、韓国を思い浮かべさせる要素は多い。子守唄、ベトナム女性の父親のセリフの「韓国とベトナムは戦争を経験した国という共通点がある。だから強い。」というセリフまで。韓国人の私としては、胸が熱くなった台詞だった。そして映画の中のスタッフと俳優の方々はアジア系の方々が多数参加していた。


映画の内容とは違うが、私はもう韓国に行けなくなって2年が過ぎた。その間、映画界では韓国色豊かな多数の映画が上映されている。『大観覧車(대관람차)』、『夏時間(남매의 여름밤)』、『ミナリ』、『アジアの天使(당신은 믿지 않겠지만)』、『ユンヒへ(윤희에게)』、『ドライブ・マイ・カー』、『ブルー・バイユー』まで… 他にも様々な映画。日本での生活も楽しくしているが、心が病になっていく様子もあった。そんな私に韓国的な要素がある映画は慰めてくれると同時に一筋の光のような安息所である。本当に生きていく上でありがたい映画たちである。頑張れる。
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