短所よりも長所を誉めて伸ばしてあげたいと思わされる映画と優秀が故に厳しく育てた方がこの子の為になるんじゃないかしら…と思う映画がある。
この映画は個人的に後者かもしれない。
社会的な問題を作品に落とし込んで知るきっかけや考えるきっかけを与える作品は絶対的に必要で本作では移民法や養子縁組制度はそもそも何の為にあるのか？など心に強く訴えてくるものがある。
問題提起はしたもののどんどん温くなって最終的に浅く着地する社会派エンタメも多いのでそんな作品とは一線を画していると思う。
しかし演者や撮影の素晴らしさに比べるともう少しスマートな演出、脚本にできなかったのかなと感じた。
不条理なシステムにイラつかされたり悲しくなると思ったのに蓋を開けてみるとお馴染みの胸糞警官の度を超えた嫌がらせばかり印象に残ってしまった。
胸糞警官が「お前のせいだ！」って言われてるシーンが、その通りだ！と思う反面この映画で語るべきテーマはそこではなかったはずとも思った。
普通に暮らしたいだけの家族が実際に引き離されてしまった例がいくつもあることを考えるとあまりにも起承転結ありきのドラマのように感じてしまったのが残念。
空港のシーンも泣けるけど露骨すぎる気がするし、そう感じてしまう自分にも少しげんなり…。
良い映画だけれど色々とワガママな注文もしたくなるというか。
「全滅を防ぐために別々の船に乗った」という台詞などは忘れがたいものになったし間違いなく沢山の人に観られるべき映画だと思う。
