このレビューはネタバレを含みます
冒頭のロングショットからすでに大きな魅力を放ちまくっている。
肝心の強盗シーンは僅かな緊張感こそあれど、さほど重要ではない。むしろ、特筆すべきは人物描写の細かさだ。本作に登場する犯罪者は皆、弱い存在として描かれている。『悪事に大小はない』や『犯罪とは人間の努力が裏側に現れたもの』と言った台詞は本作のテーマを端的に示しているように思う。
机の上を過ぎ去る拳銃の影や、フィクサーが若い女性のダンスに目を奪われる場面など、彼らの最期にはどこかロマンチシズムが漂っている。不自然なまでに暗く圧迫された車内から一転して、1人の男は陽光に包まれながら牧場の遠写の中で逝く。
端役として出演するモンローがやっぱり良い。