『LCCスッチー密着24時!!』みたいな内容の、エマニュエル・マールとジュリー・ルクストレの監督コンビのデビュー作となるモキュメンタリー映画。なぜこんな邦題になるのかは、よくわからない。
とにかく映画的な手法は用いずに、あくまでも現時点の出来事を時系列で映し出すことに徹している。一方で、そのようなドキュメンタリー的手法を用いながらも、主人公に起こった過去の出来事やそれに対する彼女の複雑な心情が暗示されている。それらを明確に描くことはあくまでも意図していないみたいので、そこに物足りなさを感じるかもしれないが、そういう諸々の事情や感情をひっくるめて、刹那的でも野心的でもあるカサンドラという26歳の女性のリアルを上手く描き出している。
そんな描写に成功しているのは、アデル・エグザルコプロスの演技によるところが大きい。でも、彼女の若い頃のピュアで直情的な演技が好きだった自分としては、本作のやさぐれて疲れた感じは、内容からして仕方ないとは言え、ちょっと悲しかった。