ツクヨミ

グレタ ひとりぼっちの挑戦のツクヨミのレビュー・感想・評価

2.0
拡大する社会運動と反比例して全く進展しない地球環境問題の現実。
2018年から環境問題のために学校ストライキを始めた15歳のグレタ・トューンベリ。彼女が起こした行動はどんどん世界に波及していく…
若き環境活動家グレタ・トューンベリの活動を見つめたドキュメンタリー。今作は15歳の少女グレタが小さなストライキからヨーロッパ各地果てはアメリカまで遠征し、自分の意見を広めていく過程をグレタさん本人に密着して撮られたドキュメンタリーだ。環境問題のドキュメンタリーといえば実際に起こっている環境問題を数値的な側面などで評価し危機的状況を説明していくのが普通、しかし今作はグレタさんが巻き起こした環境問題運動がどう広がっていったかやグレタさん本人と主な支援者である父のリアルな姿に焦点を当てている。
そのため環境問題のリアルな数値は今作には出てこないので、運動ばかりが先行しあまり危機的に見えてこないじゃないかと鑑賞初めは感じた。しかし今作でフォーカスする問題はそこではなく、グレタさん本人も言及する"政治家たち権力者は環境問題に対策を立てて改善に取り組むと口では言うが、一切行動には移さない"という現実に焦点を当てる。たしかに口で改善するなどと言うのは簡単、しかし行動に移すのは話が違うほど環境問題は本当に進展させるのは難しい。それはどんどん技術の発展によって大量消費社会に突入した世界の現状があるからに他ならないし、極論を言えばもし全力で行動に移してしまえば世界は原始時代に戻るしかないのだ。
グレタさん達運動家が各国政府に対して改善しろとデモを起こすのは良いが、今作はそれに対しての権力者の意見がまったく見えてこないのが少しモヤモヤする。グレタさん達運動家にフォーカスしたものなので他意見は映していないと言われればそれまでだが、ここまで運動家の猛攻を見せられると反対派の意見というか政治家達が行動に移せない理由を知りたくなったというのが率直な感想だ。
グレタさんの意見を否定するつもりはないが、環境問題って本当に一筋縄ではいかない大問題だと強く感じた作品だった。
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