Ryo

ブレードランナー ファイナル・カットのRyoのレビュー・感想・評価

4.3
「雨の中の涙」

テーマ:人間の定義

「彼ら(レプリカント)は知りたがっていた。自分がどこから来て、いつまで生きられるのか。だが、それは人間も同じだ」


ーなぜレプリカントは地球に来るのかー
奴隷扱いのレプリカントは元々4年の寿命で設定されています(感情が芽生え始めるため)。しかしなんらかの問題が起こり感情の芽生えたレプリカントは開発元である会社を目指し長生きできるよう説得しにきたのです。

ちなみにレイチェルは例外として寿命は4年として設定されてない。

ー「我思うゆえに我あり」というセリフー
17世紀哲学者のルネ・デカルトの言葉。「今見ているもの、感じてるもの、記憶は本当に現実なのだろうか。この世界は自分の脳が勝手に考え出している現実には存在しないものなのでは無いか。だがそれを考えてる自分自身は確実に"ここ"にいる」

ー人間とレプリカントの違いー
(本当はレプリカント説は一旦無視して)人間の主人公とレプリカントはどっちが人間らしいか。主人公は上の命令で機械のようにレプリカント排除の仕事をする。しかしレプリカントは長生きしたい、仲間が死んだら泣く、作戦を立てるなどより人間らしく生きています。どちらがより人間らしいのか。
作られたか作られてないかではなくどう生きたか。心が存在するのかしないのかが大事なのである。

ー雨の中の涙ー
「俺は、お前たちが想像もできないものを見てきた。オリオン座の近くで燃える宇宙船、タンホイザー・ゲートの闇に輝くオーロラ。だが、そんな思い出も消えていく。雨の中の涙のように…」

ー玄関の残されたユニコーンの折り紙ー
解釈その1:折り紙が得意なカブがそこに存在しただろうこと。それはレイチェルはデッカードの識別テストによってレプリカントであることが判明し処分の対象となりました。カブは居所を突き止めていながら余命幾ばくもないレイチェルを見逃してやったのでしょう。「見つけたぞ」という警告としてユニコーンの折り紙を残していったものと考えることもできます。
解釈その2:「ユニコーンの夢」のシーンとの関係を考えるとデッカードがレプリカントという可能性があります。レイチェルと全く同じ状況で外部の人間に記憶を埋め込まれていた存在であり自分がレプリカントであることすら気づいておらず人間だと信じ込んでいます。カブはデッカードがレプリカントだということを知っていたからこそ、「お前はレプリカントなんだ」というメタファーを込めてユニコーンの折り紙を残した可能性が非常に高い。
解釈2は本作テーマにも沿っておりレプリカントと人間の違いの難しさを観客にも体験させている。
Ryo

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