mai

ブレードランナー ファイナル・カットのmaiのレビュー・感想・評価

4.3
映像美…そして倒錯してる人間とレプリカントの関係…すごく感性に刺さる映画でした。

舞台は2019年。その時点で、この映画は今年観なきゃいけないなという使命感に駆られてました。笑

ネオンが輝く中国なのか日本なのかよく分からない、退廃的雰囲気の世界が舞台です。
未来のことをテーマにしてるにもかかわらず、舞台は近未来的というよりかは退廃的で、さらにそこの住人たちはアジア圏の人種ごちゃ混ぜの貧困街のような装いです。
通常のSF映画って、近未来的な設備はまぁ当然あるとして、それに合わせて造形面もスタイリッシュなものが多いと思うのですが、この映画はその逆(真逆とは言わないまでも…)を行ってるんですよね。そして、出てくるキャラクター(特にレプリカント)のメイクや衣装の奇抜さと魅力が…この時点でハイセンスの塊です。

また、ストーリーとしては、「人間らしさって?」と疑問の残るものになってます。
冒頭では、レプリカントはアンドロイドであり、それを使役しているのが人間であると位置付けられていました。でも、ロイとデッカードの死闘に至るまでのレプリカント達の必死さや、デッカード含めた人間達の情けなさを観ていると、レプリカントの人間らしさが際立つように思えるんです。
彼らの願望も、結局のところ「長く生きたい、自分らしく生きたい」に終着するわけです。別に「人間界滅ぼしてやろう」とかまではいかないんです。
そして、冷徹な部分を見せたかと思うと、自分の手に釘?を指して自身の死に抗おうとしたり、最後の最後でデッカードに情けをかけて死んでいったり…デッカードの小物感とも相まって、ロイ率いる反逆者たちやレイチェルへの愛着がだんだんと湧いてきました。主人公はデッカードですが、魅力に溢れていたのはロイやレイチェルでした。

グロい…というか、戦闘シーンはなかなかにハードなので、結構薄目で鑑賞してる部分もありました。笑
mai

mai