あさ

最後の決闘裁判のあさのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.9
ワクチンで寝込んでから疲れて、えらい長いこと映画を見ていなかった気がする。
『デューン』もいいけど、何となく先にこっちを見たくて。久しぶりに中世舞台の映画を観た気がする、というか洋画が少しずつ戻ってきてるんだなという実感を今更ながら噛み締めちゃった…。まあ自分含め3人しか居なかったけど、ほろり。

映画を選んだのもジョディカマ目当てだったけれど、キャスト監督強強。監督がキリング・イヴのファンという記事も見て、なんか安心して行った筈だったけど、題名の通りLast Duelでの緊迫感はヤバだった。思いの外手に汗握らされたし、過疎を良いことに声が若干漏れた。

序盤は登場人物の関係性、立場を把握するのに苦労するかな〜と思いながら見ていたけれど、チャプターごとにジリジリ引き込まれていく。

ネタバレ漏れちゃうかもしれないので、何も見ずに行って欲しいのですが、もうね…。
正義や神の御心だの、清い事を振りかざして我が身可愛さにしか気づけないのが一番邪悪で怖い。レイプの反応が全然違うのも怖い。被害者と加害者の解釈や伝え方の乖離。と、この手の話すると冤罪だってあるじゃないかって声も大概上がる。真実はいつも一つな筈だけれど、これを知るのは当事者だけ。聴く人はどちらかに疑念を抱く。14世紀の話を見ているのに、今も同じようなニュースが絶えないのが辛い。これは全然過去の話なんかじゃないの。

初夜のシーンも、まあその後もだけど顔見りゃ分かるだろ感否めない。圧倒的マスキュリニティ。夫人が声をあげたことは女性の目からしても白羽の矢が立つ行為。しかも命を握ってるのは男性。苦しいんだけど、これ以外に手段がない。ちんがムズムズするのを愛と勘違いして、結果的に尊厳を無視してどん底まで突き落としてるのも、アダドラお前は何を読んで生きてきたんだ案件だしな…。組み敷いてこそ「男になる」という思考や慣習は現代でも一定の地域で問題になっているけれど、ハァ なんかもうね…。男性性の呪いで他人の人体や精神を追い詰めないでくれ。

アレックス演じる狂気王様、そんなにカット多くないのにインパクト大。彼、ずっと顔変わんないな…。
なんか見終わってからじわじわと評価が上がっているというか、すごいもん見たかも、と思っている。
あさ

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