カイ

最後の決闘裁判のカイのネタバレレビュー・内容・結末

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 2021年Bestかも。今年で84歳になるSir Ridley Scottが生み出したとんでもない傑作。ジョディ・カマーというこれまたとんでもない女優の力を借りて。第三幕の始まりに仕掛けられた演出に震え上がった。「これは誰の物語なのか?」始まりの二つの幕の主人公を担う男たちの「真実」が鮮やかに、しかしあまりに残酷に暴かれる時、この映画が切実に訴えるテーマが迫ってくる。700年前の物語と思うなかれ。700年も経たのに、人間の、男の創り出す社会の不誠実と悪辣さが今尚普遍であることへの絶望。だからこそマルグリットは沈黙を拒否し、告発する。しかし栄光ある勝利はそこにはない。第三幕で描かれるあらゆることが今も女性が立ち向かっている問題であり、この映画の核心になっている。故に第四幕のクライマックス、決闘裁判のどうでも良さ、格好悪さ、居心地悪さが寧ろ際立つ。「どうでもいいよ」と。確かに長い映画ではあるけれど、これは必要な長さ。ここまで時間をかけて初めて、男らしさが崩れていく。皆がロマンチックだと称したデッカードとレイチェルのラブシーンの、本人による40年ぶりの反省とも見える。今最も鋭く、厳しく、そして真摯な映画
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