YOKOZUNA

最後の決闘裁判のYOKOZUNAのネタバレレビュー・内容・結末

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

吐きそうなくらい胸クソ悪くなるが、万人が観るべき映画。予告をみた段階では、決死の覚悟で訴えた妻、義憤に駆られた夫が戦友と決闘、その真実は!みたいなミステリーを想像していたが、全く違う。

ひとつの真実を異なる人物の視点から描く手法により、それぞれの主観や願望で事実が都合よく歪められてしまうことを示している。聞く耳を持たれずに意見が黙殺される恐ろしさたるや。非を認めない加害者、自分のことしか考えない家族、嫉妬する友人、尊厳などお構いなしのセカンドレイプ、お願いだからもうやめてくれ、、、現代でも本質的には状況が変わっていないことに寒気がする。

決闘裁判にいたっては、当事者置いてけぼりの愚かしく悍ましい争いで、ひたすらに突いて刺すを繰り返し己の強さや正当性を誇示しようとする姿は、まだやるか、ともはや滑稽ですらある。いやいや、闘ったのは、声を上げたのは誰ですか?なんであんたがヒーローみたいになってんすか?からの、あのショット。音楽の使い方もかなり説明的だが、それくらいわかりやすく、メッセージを伝えることに重きを置かれた演出。啓蒙のための教材になっていいレベル。

リドリー・スコットの情熱、下衆どもを演じ切った名優たち、そして何と言ってもジョディ・カマーの迫真の表情。溢れんばかりの使命感に満ちている。
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