しん

最後の決闘裁判のしんのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.9
マット・デイモン、アダム・ドライバー、ジョディ・カマーの三人がはまり役でした。作品としても素晴らしい出来で、2時間半があっという間に終わりました。

まずは速い展開ながら観客を置いていかないストーリーと配慮がとても良かったです。三人の視点の物語が順に描かれるのですが、服装やイベントなど、ある程度分かりやすい象徴を各所に配置されているので、そのシーンにおける三人の視点が観客にも共有されます。描き方の妙によって、難解になりそうなストーリーを引き戻しているのは見事です。

次に闘いのリアルさです。闘いが緩い感じではなく、泥臭く血生臭いリアルさを伴っているので、見ている方もドキドキしながら最後まで走り抜けられました。甘い作りにしなかった製作陣に拍手を送りたいです。ラストも気持ちいい感じのままで終わらせなかった(ラストのラストは不要だったと思いますが)のが良かったです。漢たちの名誉を守るための闘いをジェンダー的に再構成した上でのラストなので、目線の感じなど素晴らしかったと思います。

もちろん見所は決闘シーンなのですが、そのなかで決闘を見ている貴族たちの色々な態度を巻き込むことで、今まで気持ちよく決闘映画を見ていた私たちにも再考を促しているように感じました。総じて素晴らしい作品でした。
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