緻密ですべてが計算された脚本と映像!じつにニクイ。
素晴らしい構成。
結局自分が見たいものしか見ないし、見たいようにしか見えないんだよなぁ。
語りたいシーンが数多ある。傑作だとおもった!
真実を主観抜きで語ることは不可能だからこそ神に頼るのはある意味正し……くなんてない!
(不可能だからこそ科学的根拠を積み上げるしかないのだが、それが可能になった現代においてなお、理不尽な判決の出る不合理よ。)
特筆すべきは、アダム・ドライバーのターンとその描きかただと思う。彼が見ているもの、見たい世界があまりに身勝手で、しかし当時の価値観そのまんまの驚くほどの素直さを併せ持っている。
女性としては無論一ミリも擁護する気にはなれないが、あの時代に寄り添えば彼の素直すぎる価値観はわからないでもなく、恐ろしいのはそんな価値観が現代にもつながっているところだ。
そしてそういう価値観がむかしもいまも、情状酌量となってしまう…。
最後の決闘シーンなんて、あんたらなにやってンの?って気持ちだったよ…。でもあの時代は大真面目に命かけてるんだよね。ほんとバカみたい。
こういう映画をみると、なにが正しくてなにが悪なのかとか考えたくなるけど、たぶん大事なのはそこじゃない。
他人のことを、自分のものさしで見てわかったような気になって、なおかつ断罪までしてしまう現代のネット社会だってたいがいだよなとおもうから。
何年、何十年、何百年たっても、進化しているようでいて、じつは反復しているだけのように見える人類の精神の歴史を痛感した。(最近、人類とかすぐ持ち出して主語を大きくしがちな私!)
一歩進んで二歩下がるという言葉を生み出したひとは神。
あ!結局、神に帰結してる!