IKUZAGIE

最後の決闘裁判のIKUZAGIEのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.9
かなり面白い。ほぼ傑作。まずは映像が素晴らしい。中世のお城も街も衣装も素晴らしく、甲冑姿をしたマット・デイモンとアダム・ドライバーの馬上の姿が超カッコイイ。最後の決闘シーンは大迫力で、中世の騎士の一騎打ちが見れて大満足でした。
映画の内容は、不平等を通り越して、女性は男性の所有物だと言わんばかりの中世ヨーロッパの価値観が、ちょっと笑えるくらいの激しいジェンダー問題。騎士も牧師も医者も裁判官も王様も、現代人の感覚からいうと登場する男どもは全員トンチンカンで凄い。主役のマグリッドだけが現代の価値観に近い感覚を持っていて、自らの信念と真実・正義に生きようとするものの、しまいには自らの命すら周りの男どもに委ねるしかないという。
義母の突然の「ハッシュタグMe Too」も驚いたが、マグリッドに対する嫌がらせのような発言は、当時の女性の普通の価値観で、女として生きていく為の正義だったのですね、きっと。
では現代社会の価値観はどうか。おかしい事をおかしいと言える社会に我々は生きているのか?まあ、思うところは人それぞれあると思います。そういう事を考えさせられる良い映画でした。普通にエンターテイメント映画として観てもかなり面白いので、興味のある人はぜひ映画館で。
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