cinecoro

最後の決闘裁判のcinecoroのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.8
あまりコンディションが良くなかったけど30分経過してあくびも吹っ飛んで前のめり状態だった。
羅生門が引き合いに出されていたからだいたいの事を予想して観ていたら、あまりにも微小な違いをほとんど同じ出来事を繰り返し描く事でより現実感のある、ほとんど些細な齟齬によって(自分で靴を脱いだのと脱げてしまった、ではなるほど全然印象が違う!)個人の思いとは隔絶した状況になっていく様を主にジェンダーの問題に寄り添った視点で描かれていてとても面白かった。一章二章では男性2人の印象がまるで変わるなあと思っていたら、三章でこの2人がどうでも良くなるほどマルグリッドの抑圧された個性が際立って(夫が留守の間を任された時の活気!)ああどちらもこの人を見てはいない、ということがわかってくるとぐっと拳を握ってこの女性の視点から離れられない。女性の地位が低い時代の話、と捉えるとなんてひどい、で済むけれど女性が口をつぐまなくてはいけない事態は現代でも起きていてどんだけ長い戦いを強いられているのか、と暗澹たる気持ちに。

ところでマットデイモンとベンアフレック、今でも仲良く脚本なんて書いちゃって泣けるな。
cinecoro

cinecoro