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カード・カウンターのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

カード・カウンター(2021年製作の映画)
4.4

「カード・カウンター」観てきました。
冒頭のスタッフクレジットが、
グリーンバックにアナログシンセサイザー使ったような'80sフレイバー漂うハードボイルドな劇伴に、荒い画質のフォントでスタッフ表示。
ここだけ見たら2021年制作の映画とは思えないレトロ感。

背景のグリーン画面をよく見ると、生地の質感が見え、カジノのカードゲーム場に敷かれた緑の布地だとわかりギャンブルもの映画だと示す。
ここで既に「好きなテイストの映画きたー!」とテンションあがるのだ。

♠♥♦♣🃏作品紹介♠♥♦♣🃏

「タクシードライバー」の脚本家ポール・シュレイダーが監督・脚本、マーティン・スコセッシが製作総指揮を手がけ、孤独なギャンブラーの復讐と贖罪の行方を描いたスリラー。

元上等兵ウィリアム・テルはアブグレイブ捕虜収容所における特殊作戦で罪を犯して投獄され、出所後はギャンブラーとして生計を立てている。罪の意識にさいなまれ続けてきた彼は、ついに自らの過去と向きあうことを決意するが……。オスカー・アイザックが主演を務め、徐々に追い詰められ復讐へと駆り立てられていくミステリアスな男ウィリアムを演じる。
ギャンブルブローカー役で「アンクル・ドリュー」のティファニー・ハディッシュ、ウィリアムと擬似父子のような関係を築く青年役で「レディ・プレイヤー1」のタイ・シェリダン、物語の鍵を握るウィリアムの元上司役でウィレム・デフォーが出演。2021年・第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。


♠♥♦♣🃏 感想 ♠♥♦♣🃏
ポールシュレイダーらしく罪の意識に囚われ、贖罪と復讐、そして魂の救済の機会を待つ人物を描いたお話しなんですけど、
「タクシードライバー」でベトナム戦争PTSD、「魂のゆくえ」で環境破壊等、社会問題を持ち込んだように今回はイラク戦争時のアブグレイブ刑務所の拷問事件を扱ってて、流石ポールシュレイダー師匠という所でした。

ただ「魂のゆくえ」「タクシードライバー」みたいに陰鬱と病んでいく作風ではなく、毎日規則正しくルーティンをこなして禁欲的に生きる主人公の人物像からくる、健康的とも言えるが潔癖な(どこか村上春樹作品の主人公のような)美意識に画面が満ちていて、端正なノワール映画という印象。

カジノでカードギャンブルをするシーンなんかは、寧ろフェティッシュな撮り方でゾクゾクさせてくれるし、
何よりタイトでシックなスーツを着こなす、主人公にオスカーアイザックがどんぴしゃハマり役で、人生を諦観しつつ奥に何かを秘めたミステリアスな雰囲気が色気たっぷりで必見です😊

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ラストはこれまでの作品にはない、希望を呈示したものになっていたのでは。
見終えて思うのは、赤紫に彩られた空に表象される「魂のゆくえ」のあの病んだ作風がまた見たくなった。辛いんだけど。
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