『タクシードライバー』を手がけたポール・シュレイダー(監督・脚本)× マーティン・スコセッシ(製作総指揮)の座組。
各地のカジノを渡り歩くギャンブラーの贖罪と復讐を描く物語。プレイヤーに天国と地獄を見せるカジノにおいて感情を見せることなく、自らの信念に基づき行動するストイックな主人公の姿は『タクシードライバー』のトラヴィスよりも、『魂のゆくえ』でイーサン・ホーク演じる牧師の姿を思い出した。
舞台となるカジノといえば、ラスベガスに代表される煌びやかな印象を受けるが、本作の舞台となる賭場は主人公の雰囲気に合わせるように物静かに描かれるのも舞台装置として良かった。(それだけに、作品に登場するバカ勝ちを続けるUSA軍団の浮っぷりも際立つ)
終盤の劇的な展開もまたポール・シュレイダー脚本作品に通じるところであるが、希望・救いを感じさせる着地点も非常に良かった。アメリカで公開されている同監督の最新作も是非日本公開してほしい。