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カード・カウンターのThePassengerのレビュー・感想・評価

カード・カウンター(2021年製作の映画)
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監督・脚本を務めるポール・シュレイダーの最新作「カード・カウンター」は、タイトルから連想される通り、「ハスラー」や「シンシナティ・キッド」(劇中の台詞で両者に言及される場面あり)の系譜に連なるギャンブラーものだが、それらとやや趣を異にするのは、カード賭博の話と並行して、戦争犯罪にまつわる復讐劇が展開される点だろう。その2Ways構成は、大統領候補の暗殺とポン引きに搾取される家出少女の救出とが交差する「タクシードライバー」(シュレイダー脚本)に通じてもいる

さすらいの賭博師が切った張ったでカジノを渡り歩くだけの単純なドラマに留めず、そこに社会的な視点を加味したアイデアは、如何にもシュレイダーらしく、内省的な主人公の独白を用いて、最後まで一定の緊張感を保ったまま進む語り口には熟練の技が窺える。ただ、そうした意欲が若干空回りを起こし、結果として「二兎を追う者は」になった部分は否めない。特にパトロン女性と共に臨んだカードゲーム大会の描写があまりに中途半端で終わったのは残念だ

感情を全く露わにせず、終始抑制された演技を見せるオスカー・アイザックの雰囲気や表情に、時折若きロバート・デ・ニーロの姿が重なって映った。またパトロンに扮したティファニー・ハディッシュもキュートで美しい(彼女がスタンドアップ・コメディアンと聞いて驚いた)。エンディングにおけるふたりのシーンは、演出家シュレイダーの名を高めた「アメリカン・ジゴロ」のラストを想起させ、どことなくセルフ・オマージュのようにも受け取れる

(2023-68)
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